Tabula Rasa

西川キーパーソン インタビュー:「期待するのは、前例にとらわれないこと!」 元行政マンの言葉

「西川キャンドルナイト」の会場である西川緑道公園は、岡山市が管理するパブリックスペース。ここで開催されるイベントは、岡山市役所の庭園都市推進課が窓口となり様々なサポートをしてくださっています。
そこで今回は、場所を貸し出す行政の立場の本音を聞いてみようと思います。「西川キャンドルナイト」の初回からお世話になっている、元岡山市都市整備局審議監 石田尚昭さんにインタビューしました。

タブララサ(以降ラサ):石田さんは初回から毎年欠かさず「西川キャンドルナイト」を見てくださっていますね。実は今年で15年目17回の開催になるのです。ずばり、これまでの「西川キャンドルナイト」で一番印象に残っていることはどんなことですか。


石田さん(以降石田)
:10周年だったと思うのですが、水上テラスのキャンドルケーキ。あの時はこれ以外もずいぶん力が入っていたように思えます。一番印象深いものでした。

ラサ:たしか、「西川キャンドルナイトのための誕生日ケーキ」っていうコンセプトで、あのケーキを作っていたと思います。コーディネートの細かい部分に力を入れていたという印象ですよね。現理事長の利根を筆頭に、アーティスティックなキャンドルをたくさん作っていた時期だと思います。
キャンドルナイト当日で印象深い時間帯はありますか。

石田
:まだ少し明るい時間に、キャンドルが灯されていきます。それから徐々に周りが暗くなっていき、キャンドルの明かりがはっきりとしてきます。最初のほのかな明かりが優しい感じがして、これからキャンドルナイトが始まるな!という期待感が膨らんできます。

ラサ:
暗くなってからも綺麗ですが、キャンドルの灯り始めも綺麗ですよね!
私たちスタッフも、キャンドルが灯る瞬間が印象的だという感想が多いです。「ああ、やっていてよかったな」と思うひと時というか。キャンドルが灯ると、「これまでの準備の苦労が報われた〜」と私たちは思うのですが、毎回開催にあたり、行政側として裏で苦労したことがたくさんあるはずです。

石田
:苦労したことと言えば、NPOと行政のギャップをなくすこと。一番は、公園管理部門との調整ですね。火を使うということと公園内の照明を消すということは、ずいぶん担当に抵抗されましたが、照明を消すことでキャンドルの明かりを際立たすことができたと思います。 

ラサ:安全面を考える管理部門と、理想を実現したい市民(私たち)の間で、粘り強い調整をしてくださったからこそ出来上がる空間なのだと改めて思います。石田さんは、ご自身もプライベートで「西川フリマ」にも関わり、「くらしき白壁フリーマーケット」を10年間も開催されていましたよね。行政から離れた立場で街を盛り上げようとする一市民としての活動経験があるので、私たちの想いもできる限り汲んでくださっていたことは、ひしひしと感じていました。
キャンドルナイトは、「電気を消してキャンドルの灯りを灯すことで、素敵な時間を過ごせるし、ちょっぴりエコにもつながる」という意味合いもあるので、緑道公園の街灯を消すことは切なる願いだったのです。
もちろん電気を消した方がキャンドルの灯りが綺麗に見えるという点もあるので、街灯を消す許可が出ていない頃は、実は緑道公園全ての路地灯に内緒で黒いカバーをかけていました。ごめんなさい。時効ということで。


石田:そうだったんだ!(苦笑)余談ですが、河上さん(元理事長)や利根さん(現理事長)とのやり取りも。楽しく、苦労ではなかったのですが、立場上思いをなかなか実現させてあげられないときもあり、申し訳なさがありました。

ラサ:夢見がちな私たちに根気強く付き合っていただき、感謝しています。私たちも、今思えばもっと説得力のある説明をするべきだったのだと思います。若かったですね。団体の性格としても思いが突っ走る傾向にあり・・・。
長年西川緑道公園に携わってこられた石田さんにとって、西川緑道公園とはどんな場所ですか。

石田:西川緑道公園は、岡山の街中でとても素敵な場所。また公園はマナーとルールを守ればどんなこともできる場所。とにかくそのことを多くの人に知ってもらい、体験してもらいたいとの思いから、やりたいと思う人がいろいろなことができるよう「西川パフォーマー事業」という「仕組み」を作りました。そしてその中から「有機生活マーケット市(ichi)」や「満月BAR」などが生まれ、その創世記から発展していく様子を見られたこは楽しく貴重な経験でした。

ラサ:公園は「使える場所」なんですよね。そして、もっともっと「使って欲しい場所」ですよね。西川緑道公園は川が流れ、木々が綺麗で、水上テラスやステージまである。私たちがキャンドルナイトを続けてきたこの15年間で、少しずつ設備もバージョンアップして使いやすくなりました。そして、周りにも素敵なお店が増えてきたのが嬉しいです。

石田:キャンドルナイトに限らず西川緑道公園に関わる人たちが、思いを持って西川緑道公園界隈を素敵にしていくことに取り組んでいけば、世界に誇れる場所になっていくと思っています。

ラサ:世界に誇れる場所!そのために、これからの「西川キャンドルナイト」に期待することはありますか。
 
石田:前例にとらわれず、作り手(キャンドルナイトのスタッフ)とお客さんが楽しめるキャンドルナイトであってほしいと思います。そして必ず「おしゃれ」であること。

ラサ:「前例にとらわれない」とは、元行政マンらしからぬお言葉!ありがとうございます。全てのことがすぐに変えられるわけではないですが、継続していると少しずつでも自分たちの想いは形になり、前例を変えることができるということを「西川キャンドルナイト」やその他の取り組みを通じて知れました。その過程には、石田さんはじめ担当課の方々のタブララサへの理解と大きな協力があったことは、改めて肝に銘じます。そして、「おしゃれ」も大切ですね!
石田さん、ありがとうございました。今年も「西川キャンドルナイト」に来てくださいね。


石田尚昭

本職は一級建築士。元岡山市職員(公園関係部署に10年在籍)2009年の全国都市緑化おかやまフェアを担当し、西川パフォーマー事業を創設。西川界隈のまちづくりに長年携わる。2014年に国土交通省の「新たな時代の都市マネジメントに対応した都市公園等のあり方検討会」の委員。現在は2つの公益財団の理事を務めながら、西川歩行者天国の運営に参加。

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※5/13に、 新型コロナウィルス「まん延防止等重点措置」が岡山県に適用されたことにより、下記の開催は中止となりました。状況が落ち着きましたら開催する予定です。日程は改めてお知らせいたします。(西川キャンドルナイトスタッフ一同)

西川キャンドルナイト Vol.17
場所:西川緑道公園 野殿橋周辺(岡山駅より徒歩5分)
日付:2021年5月22日(土)
時間:夕暮れ〜21時

西川キャンドルナイトWeb サイト